訪問、接待などの規制続きのMR活動にできることは、赤字の病院経営に携わる事かも…
昨今、MRの活動は制限されています。
接待や訪問規制、論文の情報提供までもが禁止され、説明会のお弁当も提供できなくなるのでは…との噂もあります。
この先、どうやって先生との話をすればいいのか…
先生の心を掴むためには、どんな活動をすればいいのか…
そんな声も聞こえてくる時代になりました。
ただ残念なことに、2019年4月より販売情報提供活動GLが施行されるため、より厳しくなります。。。
ご存知の方も多いと思いますが、このGLを簡単にまとめると、以下のような改定です。
【対象者】
MR、MSLなど製薬会社に従事する全ての人
【提供するツール】
口頭、パソコン、iPadなど全てが対象範囲である
【内容】
承認された用法用量のみ
有効性と安全性をバランスよく提供する
科学的根拠が示されたものしか提供できない
【禁止事項】
誇大な表現
疾患の病状を過度にPRし、不安を煽る事
【例外事項】
国内の適応外使用については、要求があった場合にのみ、営業と独立して提供できる
【備考】
2019年4月1日から施行。ただし医薬品の情報提供に関する部分は移行期間を半年設ける。
今まで口頭でこっそりPRしていたMRも厳しい時代になります。
しっかり勉強して、自社製品を処方してもらおうと頑張っていたのに、その頑張りもPRできなくなる可能性があります。
もしかすると、ここまで過敏になる必要はないかもしれません…
ただ事実として、4月1日から販売情報提供活動GLは施行されます。
そこで、僕が基幹病院&開業医のエリアを担当している時の経験を記事にしようと思いました。
もう2011年くらいの話になりますので、もしかすると細かいところは間違っているかもしれませんが、根幹部分は変わっていないだろうと思います。
気になる方はご自身で詳しく調べてみてはいかがでしょうか。
ただ注意しないといけないのは、MRがコンサルみたいな仕事をするな!と厚労省に怒られた過去があることは、しっかりご認識してくださいね。
目次
MRのデキることは、実は赤字の病院経営に携わる事である
病院経営に携わると聞けば、誰しもコンサルティングの仕事を思い浮かべるかもしれません。
MRは医薬情報担当者ですので、本来の仕事からはかけ離れています。
ただ最大のお客さんである病院の医師が抱えている問題を解決すれば、自ずとコンタクトも強くなり、自社医薬品が処方されます。
実際、僕はこの方法でシェアを伸ばすことに成功しました。
その抱えている問題こそが「赤字」になります。
中小病院の経営状況を知ってみよう
日本の病院が抱える大きな問題として、病院の赤字経営があります。
実際、日経デジタルヘルスの記事でも2017年の日本病院経営実態分析調査でも約7割の病院が赤字経営であることが報告されています。
そもそも赤字経営とは、収入<コストの状態です。
収入は診療報酬によって左右され、最大のコストは人件費だと言われています。
病院の収益について
最大のコストである人件費を削ろうと考えるのは、製薬会社の早期退職と同じ考えですね。
ただし、簡単に人件費を抑制することは難しいです。
人件費の中でも医師のコストは高く、解雇したい気持ちもでますが、院長の仕事は医師を引き抜くことも大事な1つだ!と仲の良い院長に教えてもらいました。
簡単に想像できますが、病院の利益は患者さんが診察してくれた時に取れる診察料がメインです。
ここで重要なポイントが1つ、外来より入院の方が病院の利益に貢献しているという事です。
さらに入院もより短期間で多くの患者さんを回すことができれば、利益は高くなります。
まさに病院側からすると、手術ができる循環器や外科医は重宝される存在になります。
逆に糖尿病などの手術ができない医師は病院にとっては最重要な医師でなくなります。
診療科でも病院における先生の立ち位置をある程度理解できます。
(もちろん例外もありますので、パワーバランスはご自身の病院を把握してくださいね…)
自分の病院の収益を知ろう
そんなの簡単に理解できる!と言われそうな内容が続いていて申し訳ございません。
ここから実践的に話を続けようと思います。
ご自身の病院の収益を知っていますか?
大雑把に経営が苦しいことを薬剤部長から聞いている…
中の良い先生に今年は設備投資を抑えようと思っている…
こんな話を聞いた事があるかもしれません。
ここではそのような話を数字で証明していきたいと思っています。
医療機能情報提供制度と病院経営管理指標を利用すればある程度は把握できます。
①医療機能情報提供制度にアクセスする
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html
②知りたい医療機関を探す
③理由はありませんが、「小樽掖済会病院」を例に考えてみます。
この病院の基本情報を開くと、一般病床は138床あります。
④次に上のタブにある「医療情報等」の情報をクリックしてみると、入院患者数が出てきます。
➄この病院は138床が98,4人の患者さんで稼働していることが分かります。
稼働率=71,3%
この稼働率は全国の平均と比べて、どのくらいなのかは病院経営管理指標で分かります。
100~200床の医療法人の経常利益率と病床利益率を見ることで小樽掖済会病院が全国と比べて経営状態がどうなのかが分かります。
この表は次のように理解ができます。
全国の100~200床の医療法人病院は病床稼働率が77,4%で経常利益が4,1%。
小樽掖済会病院の病院稼働率は71,3%でしたので、全国よりも経営的に厳しい立場だろう…と予想ができます。
赤字の病院に対してMRがデキること
より利益を求めるために、病院が行うことがあります。
それは収益を上げるために、開業医の先生にウチの病院へ送ってください!と営業をします。
よく地域医療連携室にお邪魔していましたが、そこではどの開業医から何例の患者さんを送ってもらっているのかを毎月表にしていました。
もちろん個人情報なので、教えてもらえませんでしたが、病院経営として集計しています。
ここでエリアMRがデキることが見えてきませんか?
紹介患者さんを一緒に増やす活動を行えば、間違いなく病院側から喜んでもらえます。
喜んでもらえればコンタクトは強くなりますし、採用品などにも好影響がありそうな雰囲気がします!
2025年の地域医療構想に向け、病院も各製薬会社も生き残りに必死です。
2019年も臨時の薬価改定があります。
2020年も通常の薬価改定と診療報酬改定が待ち構えています。
2025年には団塊世代が後期高齢者になる2025年問題が待ち構えています。
この急な変化に対して、病院も製薬会社も生き残るのに必死です。
対応するために共同購入やフォーミュラリーの仕組みもどんどん加速していく事が予想できますね。
そんな時、MRにデキることを糞真面目にしているだけじゃ、自社医薬品を使ってもらう機会すらなくなってしまいます。
どの雑誌で見たのか忘れましたが、欧州のとある国ではフォーミュラリーが定着化していて、MRは経営者に訪問するようです。
もちろん自社医薬品をフォーミュラリーの中に組み込んで欲しい!とPRしに行くわけです。
近い未来、日本もこんな社会になる可能性があるかもですね…
そんな時にも、こんなアプローチ方法も1つのワザとしてマスターしておけばオンリー1のMRになれるかもしれませんね。
暗い話が続きますが、今日も楽しんで生きましょう!