ゲノム編集と製薬会社~今の判断が10年後のMR人生に大きく左右する話~
「ゲノム編集」
間違いなく医療に関わるものとしては、知らなくてはいけない言葉の1つになりつつあります。
なぜなら、これまで遺伝子レベルで原因が分かっていた疾患はゲノム編集を行う事で治せる可能性が出てきたからです。
そのため世界中の製薬会社はこのゲノム編集に、もっとも力を注いでいると思われ、報道によって徐々に表面に出てきました。
もしかするとゲノム編集を担当するゲノムMRが誕生する日も近いんじゃないでしょうか?
その時、あなたはまだプライマリーで消耗していますか?
それともチャレンジングな課題に向き合って楽しく仕事をしているのでしょうか?
その帰路は今かもしれませんよ!
とにかくゲノム編集が起こす医療革命をお楽しみください。
目次
もがく製薬会社…低分子時代からの脱却を図る
引用元:file:///C:/Users/maruono1/Desktop/勉強用医薬品の変遷.pdf
1970年代、低分子医薬品の開発が盛んに行われ、2000年代初頭まで売上ランキングの上位を占めていました。
スタチンやARBを始めとするプライマリー製品は低分子医薬品の代表格であり、2000年代を中心にブロックバスターとして多くの製薬会社が最も注力する医薬品として販売していました。
現在、それらの低分子医薬品は特許が切れてしまい、数百億の売上が飛び、屋台骨が失われた状態になっています。
その結果、早期退職や会社の制度を変更したりすることで耐え忍んでいる事は現役MRであれば、誰もが身を染みて感じている事だと思います。
今は製薬会社のバイオ最盛期
そして、バイオ製品が主流の時代に入っています。
転職するならどのような薬が扱いたいですか?と聞けば、ほぼ「希少疾病」「バイオベンチャー」と答える人が増えてきているのが実感としてあります。
確かに市場と売上ともに大きくなっており、MRの花形といっても過言ではないでしょうか?
僕も希少疾病の経験はありますが、プライマリーとは違う楽しさがあります。
その点で、希少疾病が中心になることは嬉しいですし、仮にプライマリー製品で四苦八苦している人がいれば、この分野の会社を推しています!
※灰色がバイオ製品
まだまだ未知の世界だけど可能性大な領域「ゲノム編集」
一方で「抗体製剤、抗体製剤…」とそちらばかりに目が言っちゃうと今後の製薬会社の時代の波には乗れないんじゃないかと思っています。
今、抗体製剤を扱っているMRはプライマリー全盛期時代にコツコツと活動してきたから、今需要がある中、その経験を活かしてMR活動を楽しんだり、自身のキャリアを積むために転職したりもしています。
つまり、誰も目を付けていなかった時の下積み時代があるから市場価値もあがっているんです。
先日も「大丈夫?」と思っていた50歳手前のMRでも自分の思い通りの勤務地で転職を叶えられていました。
ご自身の分析なので分かりませんが、長い間、希少疾病を扱ってきた経験が採用の決め手になったそうです。
そんな意味でも、若い僕たちが息の長いMRを目指すのであれば、バイオ製品の次の時代の主流を考えることは重要なんじゃないかと感じ、色々調べてみると「ゲノム編集」のキーワードが上がってきました。
まだまだ安全性などの問題もありますが、これからはゲノム編集の医薬品を扱うゲノムMRが主流になってくるんじゃないかと考えています。
医療に与える影響は計り知れないゲノム編集「クリスパーキャス9」
クリスパーキャス9を始めとするゲノム編集の技術については後日まとめたいと思いますが、このゲノム編集は医療に与える影響は莫大だと考えています。
例えば、「ハンチントン病」
これは重度の神経疾患です。かつて「舞踏病」とも呼ばれたハンチントン病ですが、発症してしまうと患者が全身を制御不能なまでに激しく揺れ動かし、認知機能の低下など他の深刻な症状も出ると言われています。
最終的には患者を死にいた占める疾患でもあります。
このハンチントン病は遺伝性疾患であり、原因となる遺伝子も特定されています。(染色体の4番に存在する反復配列)
これらの遺伝子に一定数の異常が見つかれば、リスクが高くなり、発症してしまいます。
不治の病として知られ、これまで治療法がありませんでした。
しかし、ゲノム編集の技術を応用すればこのハンチントン病は治療が可能になります。
このように今まで治せなかった疾患がゲノム編集によって治療することが可能になることが言われています。
もうすぐ承認!!ゲノム編集治療の新時代の代名詞「CAR-T療法」
ノバルティスが現在申請を出している「キムリア」はCAR-T療法と言われています。
CAR-T療法とは、患者の血液を一度取り出し、ノバルティス研究所で患者の血液内のT細胞をゲノム編集を行い、正常なT細胞を再び患者に戻すものになります。
ちなみに「キムリア」の適応は再発・難治性の大細胞型B細胞リンパ腫になります。
一方で、同じCAR-T療法の薬剤「イエスカルタ」(ギリアド・サイエンシズ)は、再発性の非ホジキンリンパ腫で適応を欧米で取得しています。
その他にも米ペンシルベニア大学の医療研究チームは2016年に「骨髄腫」「肉腫」「メラノーマ」などの各種ガンを治療する臨床研究を発表しています。すでにFDAの許可も得ています。
優良なバイオベンチャーは既に大手外資系製薬会社とゲノム編集の提携を結んでいる
クリスパーの技術は無料で利用できるので、多くのベンチャー企業が参入している分野である。
色々と調べてみたものの、日本の企業も参入しているが、どうしても資金力の関係でアメリカの会社の技術進歩が速いイメージを抱いてしまう。
そして、そこに製薬会社を始めとする大手企業が何社も提携を行っており、競争が激化しているのが分かります。
ここに次世代の医薬品の可能性を感じるし、絶対数年後には波が来るんじゃないかと思っています。
カリブー・バイオサイエンシズとインテリア・セラピューティクス
2社ともにダウドナ氏が立ち上げたベンチャー企業である。(ダウドナ氏はクリスパー技術の先駆者)
カリブーはクリスパーのライセンス供給や製薬会社との提携などクリスパーの技術をビジネス化にするのを担当にする。
一方、インテリアは難病治療など、医療の分野でのクリスパーの商用化に挑もうとしている。
なお、この2社は2015年にノバルティスと独占的な提携を結んでいる。
クリスパー・セラピューティクス
ダウドナ氏と共に共同研究しているシャルパンティエ氏が立ち上げたベンチャー企業。
本社はスイスにあり、研究施設はアメリカに存在します。
バーテックス(米国)やバイエルと既に提携しています。
エディタス・メディシン
ブロード研究所のフェン・チャン氏が中心となって立ち上げたベンチャー企業です。
各種の神経疾患や血液疾患などをクリスパーキャス9を使用して開発・商用化しようとしている。
ジェノ・セラピューティクスと提携していたが、同社はセルジーンに買収された。
サンガモ・セラピューティクス
ジンクフィンガーと呼ばれるゲノム編集技術で研究開発しています。
ファイザーやギリアド、シャイアーなどと提携し開発を進めていますが、ギリアドが中心部分の技術の独占権を締結しました。
サンガモはHIV領域にも熱心でギリアドもHIV領域で勝つ必要があるので、その点で両者の思いが合致したのかもしれません。。。
サンガモ自身もアステラスの提携は退け、ギリアドの提携を受け入れたのは戦略的なモノ以外に考えられません。
ますます内資製薬会社のMRは厳しい時代に突入する
アステラスのサンガモの件のように内資系企業製薬会社の規模が大きい、小さいは関係ありません。
残念ながら、内資系企業は世界のベンチャー企業からは相手にされていません。。
そうなれば売り上げは少しずつ下がってしまいますし、雇用の不安も出てきます。。。
うちの会社はリストラは過去、1度もしていないと豪語する方もいらっしゃるかもしれません。
だけど、大正富山医薬品も創業以来初めての早期退職を実施しました。
仮に早期退職を行わなくても、社内での配置転換が起こっています。
例えば、ゼリア新薬のMRが激減したのは、ヘパリーゼ部隊への配置転換です。
もちろん配属先での給料はカット+補助も少なくなったと聞きました。
リストラまでしなくてもなんとか配置転換で生き残っているのが現状です。
MRとして生き残るだけじゃなく、めちゃくちゃ楽しそうなゲノムMR
僕自身、ゲノム編集を勉強していてめちゃくちゃ面白いです。
もちろん安全面の問題もありますが、数年後にはスタンダード治療になるかもしれないゲノム編集技術は夢があります!
おそらく来年にはCAR-T療法も承認されますし、ゲノム編集の言葉がもっと身近になるんじゃないかと想像しちゃいます。
その先端技術の情報提供をできるMR(=ゲノムMR)になれば、楽しさも簡単に見つけられるでしょうし、MRとしての存在価値も自社医薬品が押し上げてくれます。
ただ、、、MRの人数も少ないでしょうから、簡単にはなれないと思います。
だけどゲノムMRになりたかったら今やるべきことは下記の2つです。
- 常にアンテナを張りまくって情報収集
- 今の仕事で成果を残す
常にアンテナを張りまくって情報収集
情報収集はビズリーチがおススメです。
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今の仕事で成果を出す
採用する側も優秀な人材を取りたいと考えています。
そのために「今している仕事の成果」を出すことは重要になってきます。
もちろん数字としての成果も重要ですが、行動の方が重要だと考えています。
なぜなら、採用者としてはとある製品で全国1位になりました!って自慢されても響きません。
それより
「その行動を行った理由」
「その行動をしてどのような行動変容がおこったのか」
「次の仕事に繋げられる部分」
ここら辺をうまくまとめることができればいいんじゃないかと考えています。
数字としての実績は客観的なので、評価しやすいですがその結果につながった行動のほうが実は重要だという事です。