ノバルティスを丸裸にする!年収、強み、パイプライン、将来性を徹底分析【MR転職のための企業研究】
どこよりも詳しくノバルティスの企業研究をします。
なぜどこよりも詳しいのか??
僕は業界内で働いているので、おおよその製薬会社のMRには直接現状を聞ける立場にいるからです。
この記事には、ネット上に流れている情報も記載していますが、同時に社員の声も紹介しながら、ノバルティスに入社してもできるだけGAPが少なくなるように記事を書いています。
MRの転職の皆さんに少しでも参考になればと感じています。
どうぞノバルティスが気になる方は最後までお付き合い頂ければ幸いです。
目次
ノバルティスという会社の基本のキを抑えよう【現状】
《社長》 綱場一成
《社員数》 4,095名(2018年1月1日)
《社員数(世界)》 118,000人(2016年度末)
《本社》 〒105-6333 東京都港区虎ノ門1丁目23番1号 虎ノ門ヒルズ森タワー
《グループ会社》
アルコン ファーマ株式会社:医療用医薬品の眼科部門
日本アルコン株式会社:医療機器部門
サンド株式会社:後発品部門
日本チバガイギー株式会社:製造部門
ノバルティスホールディングジャパン株式会社
(※2018年6月29日に日本アルコン株式会社の売却が決定しました。)
ノバルティスは世界で約12万人、日本でも4,000人越えの大企業です。
12万人といえば大阪府門真市、群馬県桐生市、大分県別府市の人口とほぼ同じです。(分かりにくいですね、、、笑)
その日本法人を支えるのが綱場社長。
2017年4月1日に綱場社長がノバルティスに入社しています(前歴:イーライリリー(オーストラリア・ニュージーランド社長))
なんと就任当時45歳です。
世界最大手の製薬会社の日本法人の社長が日本人であることに驚き、さらに45歳とは、、、、
変化が激しい業界内で、若くなければついていけないのでしょうか。。。
それに驚いていましたが、世界のノバルティスのCEO(ヴァス・ナラシンハン)は41歳で就任されています。
一体、、、、このノバルティスという会社の規模の大きさと大胆な人事には驚かされます。
ノバルティスの歴史を抑える【過去~現状】
2017年
ノバルティス ファーマ眼科領域事業部と日本アルコン医薬品事業本部を統合し、アルコン ファーマ株式会社 設立
2015年
篠山工場に新品質管理棟を建設、本社を虎ノ門に移転
2009年
筑波研究所を閉鎖し、研究機能を米国の研究拠点に統合
2000年
オンコロジー領域に本格的に参入
1997年
ノバルティス ファーマ株式会社 設立
1996年
スイスのチバとサンドが合併し、ノバルティス誕生
1993年
筑波総合研究所開設(サンド薬品)
1976年
篠山工場開設(日本チバガイギー)
1971年
スイスのチバとガイギーの合併に伴い、日本チバガイギー株式会社 設立
1963年
ガイギー社の日本支店 設立
1960年
サンド薬品株式会社 設立
1952年
チバ製品株式会社 設立
ノバルティス自体は1997年に設立された会社です。
まだ10年ほどしか経過していない会社ですが、ディオバン・グリベックを始め多くの優れた薬剤を世の中に上市させることに成功し、ぐんぐん売り上げを伸ばしています。
のちに詳しく書きますが、ノバルティスの自社開発力は業界ピカ一で、今後もエントレストやキムリアを始めとする画期的な新薬が日本でも近々上市されます。
今後20年の製薬業界の将来性を考えても、業界TOP3には入る力を持っています。
ディオバン事件のその後【ノバルティスの気になるポイント】
業界内の人間なら確実に知っているのが「ディオバン事件」です。
この事件をキッカケにプロモーション資材や接待など業界のあらゆるルールが厳しい方向に流れました。
実際、ノバルティスの社員にこの事件以降の会社の雰囲気やディオバン事件がキッカケでやり辛くなっていることをインタビューしました。
コンプライアンスは、非常に厳しいと言っています。
他の外資メーカーができてもできない事が多く、こっそりやっても仮にばれたら社内の処罰が厳しいので、まず第一にコンプライアンスを意識すると言っていました。
上司もそれは理解しており、強く言えない現状があるそうです。
ただ、自社製品のPRには特に気にしている社員はおらず、他のメーカーと同じようにルール内で仕事する分には問題ないようです。
一部(京都府立大学など)の施設は取引が停止中だったりするので、担当者はかわいそうですね。。。
ノバルティスの年収
様々なリソースを調べてみた結果、平均は850万円くらいです。
20代で1,000万円近くまでもらえる可能性もありました。
やはり外資系なので、業績に左右されるケースが多いですが、上司の評価も一定数あるので心配いりません。
ノバルティスの主要領域【現状】
循環器・代謝、がん、呼吸器、中枢神経、免疫・肝臓・皮膚、眼科を主力領域と位置付けて研究開発を行っています。
それを裏付けるように、2018年7月11日に抗菌薬の分野から撤退を発表しています。
抗菌薬は耐性菌が出る事から、ビジネスとしては美味しい分野で世界の開発品数でもガン・神経についで3番目(感染症としてカウントされています)です。
ノバルティスは、あくまでも自身の主力領域に資金も人も注力する覚悟がこのニュースから感じ取れました。
ノバルティスの現在の主力品目【現状】
日本の売上ランキングは下記のようになっています。
(現在、確認中)
参考までに世界の売上ランキング(2016年度)はこんな感じです。
製品名 | 売上(百万ドル) | 前年比 |
グリベック | 3,323 | -29% |
ジレニア | 3,109 | 12% |
ルセンティス | 1,835 | -11% |
タシグナ | 1,739 | 7% |
サンドスタチン | 1,646 | 1% |
アフィニトール | 1,516 | ‐6% |
エクア | 1,193 | 5% |
コセンティクス | 1,128 | —- |
ディオバン | 1,073 | -16% |
エクジェイド | 956 | 4% |
ノバルティスの強みは最大の売上製品であるグリベックの売上に占める比率が7%と非常に小さい事です。
ジレニア(7%)、ルセンティス(4%)など複数の主力製品で構成されていますので、特許が切れ後発品になってもある程度売り上げを維持することができます。
逆にロシュはリツキサン(19%)、アバスチン(17%)、ハーセプチン(17%)で構成されているため、売上の53%が3製品に頼っている状態です。
今後、ロシュのようにある製品に依存していれば、後発品が発売された時、非常に厳しい経営体制になることは安易に想定されます。
その点ノバルティスは多くの製品に支えられて経営しているので、長期間にわたり、製薬業界をリードしそうな雰囲気はノバルティスには漂っています。
ノバルティスの糖尿病分野【現状~今後】
日本の売上で屋台骨になっているのがDPP-4阻害薬 エクアを中心とした糖尿病治療薬です。
世界的な肥満増加により、糖尿病治療薬は2022年まで年7%の成長が見込まれます。
これは日本においても同じことが言え、糖尿病分野の成長は続くと言われています。
ただし、ノバルティスには糖尿病のパイプラインが存在していない事から、今後違う領域(おそらく循環器)に注力することが考えられます。
なぜなら、ノバルティスホームページの注力領域が「循環器・代謝」と一括りにしています。
外部調査が行っている糖尿病分野での2022年までの伸び率もノバルティスは乏しいです。
※円の大きさは売上の多さ。横軸は伸び率を表しています。
2022年までは、糖尿病領域はノボが牽引していき、ベーリンガーの売上の伸びが頭2つ抜ける事が予想されています。
ノバルティスは完全に糖尿病領域では取り残されます。
ノバルティスの地域別売上構成比【現状】
売上額では、一番の市場のアメリカが牽引していますが、ヨーロッパも同じくらいの売上の規模です。
実際、競合とシェアではどれくらいなのか、気になったので調べに調べつくしました。
その結果が下記のようになっています。
ノバルティスのアメリカでの売上シェア【現状】
ノバルティスのヨーロッパでの売上シェア【現状】
ノバルティスの日本での売上シェア【現状】
圧倒的にヨーロッパでのシェアがノバルティスをけん引しています。
ノバルティスにとって売上の屋台骨はヨーロッパ市場であり、もしかするとアメリカ市場は最低限の主力品だけ扱い、他の会社に委託するケースが増える可能性もあります。
事実、COPD治療薬を大日本住友製薬の子会社に委託することを2017年に決定しています。
日本はそのような戦略はとっていないようですが、長期収載品はどんどん他社に譲渡しています。
これはノバルティスに限った事でなく、武田薬品や中外製薬も推し進めているスタンダードな戦略です。
ノバルティスの開発力【今後】
製薬業界にとって、自社開発したものほど利益率が高く、美味しい製品はありません。
ただその研究開発が難しく、ベンチャー企業を買収する手法がファイザーを始めとする大手製薬企業が行っている手法です。
実際日本も武田薬品がシャイアーを買収したのは記憶に新しいかと思います。
M&Aを繰り返す会社が多い中、ノバルティスは自社開発で多くの製品を上市させています。
下の画像は2013~2018年3月までの上市された薬剤の起源を調べたものです。
正直、ノバルティスの開発力はなぜか製薬会社の中でピカ一です。
(Organic:自社開発、Company acquisition:会社買収、in-licensed:ライセンス買収、Product acquisition:製品買収)
ノバルティスの期待の新薬・パイプライン【今後】
ノバルティスが掲げる注力分野には様々な新薬が準備されています。
しかも有能かつ適応もBIGになりそうなものが多く含まれています。
例えば
・BYM338のサルコペニアの適応が万が一取得する事があれば、日本の社会保障費は加速の一途を辿るでしょう。。
・LIK066の肥満症が通っても大変なことに、、、
・さらにグローバルのHPを見たら、慢性心不全で既に適応を取得しているLCZ696の高血圧の治験が始まっています。
これらの薬に過去のARBなどの競合が過剰になることは今のところ確認できていません。
なぜならこのようなプライマリー領域を各社は撤退しているからです。
ノバルティスは期待される新薬が多いけどその中でもエントレストとキムリアは直近の日本市場の目玉
多くの新薬をプライマリー領域とオンコロジー領域で上市予定されています。
その中でも現在申請中、フェーズ3の中で期待されている新薬がエントレストとキムリアです。
ノバルティス期待の新薬①エントレスト
現在、日本ではフェーズ3になります。
すでに欧米では発売しており、発売とほぼ同じタイミングで欧米の心不全ガイドライン改定が行われています。
ノバルティスのホームページを見ても、頻繁にプレリリースを出しているので、エントレストには非常に期待している事を感じます。
ノバルティスのMRに聞いても、数年後上市される慢性心不全の薬には非常に期待しており、間違いなくプライマリー領域が担当する製品だと言っていました。
追い風にこのエントレストは医師側も期待しています。
現在の慢性心不全の治療はハンプやサムスカ、ARB、利尿剤などの薬剤が利用されていますが、非常にコントロールが難しいと言われています。
急性心不全になればハンプの用量、辞め時などの指し下限も難しく、様々な問題が存在しています。
このように医療ニーズも大きな慢性心不全にノバルティスは新薬を出します。
同じ作用機序の薬剤は僕はまだ見つけられていません。
ノバルティス期待の新薬②キムリア
先駆け製品なので、もしかすると年内に承認される可能性もあります。
欧米では既に承認されており、1人患者の医療費が約5,300万円と一時期話題になりました。
薬価はものすごく高いのですが、治療が画期的です。
人のT細胞を取り出し、ノバルティスの研究所で遺伝子操作を加え、再び体内に戻すという治療です。
1度で治療が完結し、83%の患者さんが完全寛解(CR)または血球数の回復が不十分なCRを達成しています。
5,300万円出して83%かと思われる方もいるかもしれませんが、小児であることとそれまで治療を行い難治性だという事にキムリアを使うべきという医師は多いのが現状です。
詳しくは、ノバルティスのHPをご覧ください。
ノバルティスに転職したい!入社したい!
今後、期待の新薬・パイプラインが多く揃っているノバルティスに入社したい!と思われる方も多いかと思います。
現状のMR募集はないと現ノバルティスMRから聞きました。
エージェントにもノバルティスの募集を聞きましたが、存在していません。
ただ、MRの募集は新薬の上市、適応拡大のタイミングで行われるのが通常です。
近く承認されるであろうキムリア・エントレストも募集が行われる可能性は大いにあります。
そのため、ビズリーチや外資に強いJACリクルートメントに無料登録しておけば募集が始まった瞬間に応募できます。
※よく無料会員登録で満足する方が多いですが、システム上ビズリーチはレジュメ登録も行い、希望をエージェントに伝えた方がよいです。